枚岡合金工具株式会社

人間学塾中之島にて、浅井周英先生のご講演を拝聴しました。
その中で胸を打たれる、心温まるお話がありましたので、
皆さまにもご紹介させていただきます。


私が園長を務める小さな幼稚園でも、毎年の卒園式には
さまざまなドラマがあります。
 

ある年の冬、インフルエンザが大流行し、園児のほとんど
が次々と罹患しました。
その中で、ただ一人だけ、３年間を無遅刻・無欠席で通し
た卒園児のＴ君がいました。
 

ところが、卒園式を目前にした１週間前、Ｔ君のお母様
から「Ｔもついにインフルエンザにかかってしまいました。

医師から登園を止められたため、式には欠席します」との
連絡が入りました。
私たちとしてもどうすることもできず、予定通り３月18日
に卒園式を執り行いました。
 

すると後日、保護者の皆様から申し出がありました。
「自分たちの子どもが無事に卒園できたのはうれしいけれど、
３年間あれほど頑張ったＴ君が式に出られなかったのは、
どうにもやりきれません。

もう一度、Ｔ君と一緒に卒園式を開いてもらえませんか？」

この言葉に胸を打たれ、私たちは卒園式をもう一度行うこと
にしました。

３月23日、Ｔ君が元気を取り戻した日。
会場の飾りつけも前回とまったく同じに整え、全員が再び集
まりました。

このことはＴ君のご家庭には秘密にしておき、修了証書を受
け取りに来られたＴ君とお母様を式場へご案内しました。
 

ドアが開き、全員の拍手が鳴り響いた瞬間、Ｔ君のお母様は
入り口で立ち尽くし、「わぁ……」と号泣されました。
会場中が温かい感動に包まれ、まさに教育の原点を思い出すひとときでした。

「一人を見捨てるとき、教育はその光を失う」──
教聖ヴェスターロッチの言葉です。　
　　　　　　出典（令和6年3月　和歌山読書会御案内）
 

昨日伺った浅井秀英先生の感動講話の中で紹介された
このエピソードは、心に深く刻まれました。

教育とは、人を照らし、人に寄り添う営みであることを、
改めて教えられた思いです。

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