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2012年04月11日(水)更新

鹿児島・屋久島紀行 NO.6

NO.5から続く

 宮之浦を反時計回りに出発して、断続的に降りしきる雨の中を安全運転で走らせ
海がめの産卵地である田舎浜も屋久島灯台も通過していった。

 屋久島の東海岸に位置する西部林道は、世界自然遺産の領域である。



 いよいよ道幅が狭くなり、随所に落石注意の看板と防護ネットが威圧するかのように
迫り、錆付いたガードレールの狭き道を時速20キロの超スローで進んでいった。

 行く手を遮るかのように濃霧が立ちこめ、視界10数メートルの霧のなかにライトの光
が丸く浮かびあがってきた。

 次々続く葛篭折れのカーブの連続で、いつ対向車両が飛び出しても止まれる速度で
ハンドルを握っていた。
 こんなところで脱輪するとどうなるのか?携帯電話の電波も届かないなかで万一の対
応策が頭を過ぎる。



 沢を渡る名もなき橋の袂で、素晴らしい光景が飛び込んできた。
果てしなく続く神秘な苔むした森の静寂!
嗚呼なんともいえない感動で車を停め夢中でカメラのシャッターをきっていことか。

 鹿が道路を横断してゆくシーンには3度、さると目線があったときは襲われるのではないかの
恐怖をさるも感じていたのだろう。

 西部林道では、車1台とまつばんだ交通の観光マイクロバスが乗客をのせて対向していった。
運よく対向できる道幅ですれ違ったものである。

 森の上空では台風のような強烈な風がビューンビューンと凄まじい音を立てて吹き荒れていた。
 
続きます。お楽しみに




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2012年04月09日(月)更新

鹿児島・屋久島紀行 NO.5

NO.4から続く



 宮之浦港では、雨も止んだなかレンタカー会社のかたがプラカードを片手に私たちを出迎えてくれた。
送迎車のところまで移動する途中でポツリポツリと降り出してきた。
港湾施設の屋根を突き抜けるようにそそり立つ屋久島の峰々が白雲に覆われ
天空からの黒雲が刻一刻と姿を変えてきていた。

 港からレンタカー会社の拠点までは数分であったがスコールがやってきていた。
ハンドルを握るスタッフのNさんは、「屋久島では、こちらが晴れでも5m先が大雨!
ってこともありますよ。」と急変する気候について紹介してくれた。

1ヶ月の間に35日も雨が降り、平地でも年間4000ミリ、山地では8000ミリ~12000ミリの
雨量を観測するという。

 手続きの間、稲妻が走り、雨が通り抜けて行き、車の取扱の説明が終わるころには
うその様に雨が上がって南国の明るさに町並みが輝き鳥たちのさえずりが聞こえてきた。
 
 借り上げた車の傍でスーツ姿からカジュアル姿に着替え、いざ屋久島全島1周のドライブに宮
之浦から出発したのは15時20分を過ぎていた。

 屋久島での3日間のタイムスケジュールは、車も宿も名所もすべて妻が計画を立ててくれていた
ので、本当に助かった。私は、事故のないように慎重の上にも安全運転に徹することだけである。

 初日のプランは、宿に着くまでの3時間で反時計回りに海がめの産卵地を抜け屋久島灯台と
西部林道と3つの滝を巡る予定で車(トヨタビッツ)のワイパーを入れながら走らせていた。

霧雨の中を走る観光客は、前後に誰もいなかった。

 
続きます。お楽しみに





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2012年04月05日(木)更新

鹿児島・屋久島紀行 NO.4


錦江湾の出入り口に差し掛かると波が次第に高くなり、水中翼で2m浮上した船底を時折ド
ドォーンと波が叩いてゆく衝撃でキャビン全体が震えていた。

雨粒が斜めに走る窓越しに開門岳も風雨のなかにかすんで見えた。


鹿児島を出航して1時間経つころに「左手に九州最南端の佐多岬がご覧いただけます。」のア
ナウンスが流れ、数分のうちに霞みの世界に溶け込んでいった。

東シナ海はもう外洋である。
島影はすでに見えない。
波のスケールが一段増してきていた。

トッピー号は、右に左に緩やかなスラローム状態で大波を避けながら荒天の海を進んでいるのだ。

40代後半、28フィートの小さなヨットで大荒れの淡路島を航海していたとき、バウ(船先)からきた
波が怒涛のように迫り全身ずぶ濡れになり、震えながらも無事を喜び友人達と港にたどりついたこ
ととオーバーラップして次々押し寄せる波のうねりと波頭を眺めていた。

いつしか船底をたたく衝撃音と睡魔が交互にやってきて遠い昔の淡い世界へと誘っていた。



到着6分前に屋久島の島影が眼前に大きく迫り、
トッピー号は、15時頃に屋久島宮之浦に着いた。

私たちは、世界自然遺産の島・屋久島にやってきたのだ。

両手に大きな荷物とリックサックを背負いながらスーツ姿(卒業式の延長)で第一歩を踏みしめていた。

 
続きます。お楽しみに



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2012年04月04日(水)更新

鹿児島・屋久島紀行 NO.3

NO.2から続く



 卒業式は、午前11時5分前から鹿児島大学学友会管弦楽団演奏の「威風堂々」で始まり
蛍の光の演奏で12時15分過ぎに終わりを告げようとしていた。

 屋久島行きのトッピーの出発時刻が13時20分と迫っており、急ぎ賑わう会場を後にした。
 道を隔てた対向車線に偶然待機していたタクシーに飛び乗り、鹿児島中央駅近くのホテルに
預けて置いた荷物をピックアップし、屋久島への発着場となるドルフィンポート南埠頭に向かった。

 タクシーの運転手さんは25年間近く大阪で建設に従事したことを懐かしむかの様に問わず語りに
ハンドルを握っていた。
 「天王寺も奈良の山奥へも行ったなぁ」鹿児島訛りの大阪弁は、異郷の流れる町の風景のなか
で妙に印象に残った。裏道を走っていただいたお陰で時間に余裕でき鹿児島南埠頭ターミナルには
出航30分前に到着し、親切にも正面玄関に車をよせ荷物をポーターのように歩道まで下ろして頂いた。

 ターミナルは、福岡をはじめ陸路で各地を結ぶバスターミナルを兼ねており、一方海路は種子島、
屋久島を結ぶ高速船を待つ様々な旅人で賑わっていた。

 世界自然遺産の島に渡る西洋人らしき旅なれた外国人の姿もちらほらと国際色豊かな
待合室の風情が、まるで異国に行く船旅のような旅情をかきたてていた。


 

 午後1時過ぎに、私たちはトッピー1に乗船した。
トッピー1号は、166トン,全長30.3m, 260名.の水中翼船である。

出航に際してシートベルトの着用を促すアナウンスがあり、時速80キロで航行中に流木などで急
減速するとの理由である。

 小雨のなか鹿児島南埠頭を軽快に滑りだし、船とは思えないスピードで港の灯台は流れるよう
に遠ざかっていった。
 霧雨の桜島をあとに、やっと屋久島への旅が始まった。
 
続きます。お楽しみに


PS:利用した屋久島へのアクセス

1、鹿児島汽船 トッピー http://www.toppy.jp/fare_time/





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2012年03月30日(金)更新

鹿児島・屋久島紀行 NO.2

28日 NO.1から続く



雨と汗でずぶ濡れになった身体を温め、その後ジョギングウェアーを洗い、ハンガーに
掛け1グラムでも軽くなるように水滴を絞り込んでゆく。

さらに温水で冷え切った身体を温め、仕上げは冷水で心身を清めスーツスタイルに着
替え、朝食会場に向かった。

妻と次女はすでに朝食を済ませ、2人が見守るなか朝食バイキングの料理を皿に盛り
付けてゆく。

鹿児島ならではの“さつま揚げ”があるのは有難く嬉しく幾つか大根おろしとともに盛り付けていた。
ここでの朝食メニューは>>http://www.silk-inn.jp/restaurant#restaurant である。

午前9時過ぎにフロントさんに荷物を預け、今日が最後となる荒田の長女下宿先“エヌワ
ンビル”にタクシーで送っていただいた。

袴姿の長女の晴れ姿は、親馬鹿かも知れぬがなぜか美しく輝いて見えて、25年間の長
い道のりを大勢の皆さんに支えられて歩んでくれたことへの言いしれぬ感慨が込上げて
至福のひと時のシャッターを切っていた。

同じ下宿の方も卒業と見えて親子ですれ違い様にお祝いのご挨拶をさせていただく。
その後玄関でその方に「シャッターを押しましょうか?」と親切にもお声をかけていただき大
学前での貴重な記念写真となろうとは、ご縁のありがたさに親子で感謝するひと時であった。
 


荒田から与次郎の卒業式会場へは、後輩たちが先輩たちのために雨模様なので車を出
してくれていた。



雨のなか偶然やってきた市内バスで荒田から会場に向かった。料金は180円と
大阪より1割も安く新鮮に感じられる。
特に運転手さんが一際親切なので驚かされた。志のレベルの差をまざまざと
感じてしまう。



県立総合体育センターに着くころには雨も小康状態になり、袴姿の学生たちをはじめ
待ち合わせをする先輩後輩たちの雑踏で開式1時間前にもかかわらず賑わいをみせていた。
 
続きます。お楽しみに
 
PS;卒業式の模様は、○日ブログにアップ >>> 



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