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2024年06月12日(水)更新

万象我師


 

人は人、自分は自分と、別々のいきものだと考えるところに、

人の世のいろいろの不幸がきざす。実は人はわが鏡である。

自分の心を映す映像にすぎぬ。

親子、夫婦、交友、隣人、すべてがわが鏡であって、

わが心のままに変わって行く。

今日までは、相手の人を直そうとした。鏡に向かって、顔の墨を消すに、

ガラスをふこうとしていたので、いっこうに落ちぬ。

自分の顔をぬぐえばよい。

人を改めさせよう、変えようとする前に、まず自ら改め、自分が変わればよい。

これをひろげていくと、人の世のすべては、自分の鏡であり、

さらに草木も、鳥獣も、自然の動きも皆、わが鏡であることがわかってくる。

作物も、家畜も、わが心の生活をかえれば、その通りに変わってゆく。

それだけではない。私をとりまく大自然は、ただわが鏡というそれだけではない。

求めれば、何事でも教えてくれないものはない、無上のわが師である。

自然は心理の百科事典、書籍(ほん)はその索引(インデックス)である。

万象は真理の顕現であり、芸術の開花である。

目を開いてこれを見、口をすすいでこれを味わい、心を空にしてこれに対するとき、

興味津々(しんしん)、地上は喜びの楽土と変わってくる。

古人は言った、「万象是我師(ばんしょうこれわがし)」と。

まじめにこれに師事して尋ねる人には、正しく答えてくれる。

昔の人は天を父、地を母と呼んだ。

父母はその子の求めには、何物をも惜しまず与える。

与えられぬのは、まごころからこれを求めないからである。

出典:「万人幸福の栞」

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