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2022年09月13日(火)更新

「苦難」・・・これ「がよい」!

 ここまでくると、苦難はそのままで、美に光り、
善に輝いてくる。
苦難そのまま「がよい」のである。
苦難のないところに本当の芸術は生まれない。

一茶もまた、男性として、家庭の人として、持ち得る
不幸のすべてを身一つに引き受け多様な苦悩の一生
であった。

 炭もはや俵てく夜になりにけり (一茶)
 老いぬれば日の永いにも涙かな (一茶)

中略

苦難そのままが無上のの美だと覚ったのが、芸術家である
「苦難そのものが無数の美である」と徹した境地に、
まことの芸術が生まれ出るのである。

4、

我が国は今、これまで一度もなかった苦難の中に
押し流されている。(昭和22年10月)
 しかし、これ「がよい」のである、これでなくては
ならぬ。
日本民族は今はじめて、ほんとうの苦難を体験しようと
している。これ「がよい」のである。このよい時を
取り逃してはならぬ。静かに、静かに、喜んでこの
苦難を迎えて、一歩たりとも逃げたり恐れたり
してはならぬ。
 中略
それには、悪い毒気のすべてを洗い落とし、ごみや
よごれの一切を払いのけ、毒素を抜き、陰影をなくして
、清浄常無垢の生まれた当時の若いウブな日本に
帰らねばならぬ。
そしてわれわれ日本民族の個性のありのままを十二分
にのばし、あらゆる世界各国各民族に学び、文化を
取り入れて、新しい正しい日本の再建と、全世界
最高の文化の建設に、まっしぐらに進んで行かねば
ならぬ。

これ「がよい」のである。こうならねばならぬのであった。



 

2022年09月12日(月)更新

「・・・がよい」幸運を招く言葉

昭和22年10月11日に創刊された「新世」創刊号の巻頭
に掲載された丸山敏雄の論文が900号の節目として
全文が掲載されています。

心に響く珠玉の一部を抜粋させて頂きました。

1、 まず第一に、喜んで朗らかに静かに、困難を迎えることである。
 苦難は鬼の面をかむった救いの神である。
 悪魔の顔をした応援団である。
 それと知らずに、嫌って、追い抜けるようといら立ちさわぎ
怒り狂うから、つい苦難も、その本性を見せずに、いつまでも
苦しめの手をゆるめないのである。

2、(・・・がよい)と言うことを我が家の標語にしようと約束した。
 それからである。「お米がない」とお母さんが言い出すと
「がよいのですよ」と娘さんがいう。「部屋が窮屈で困るね」と
でも、ついうっかり主人が言い出すと、「がよいんでしょう。」と
坊ちゃんが言う。去る年の2度の大患の後、ご主人のお腹には、
いまだに胆石の固まりが残っていた。いつとはなしに思い出して
さすりながら、「まだ固まりが取れぬ」と独り言を言う。
そばにいた奥さんが、「がよいのでございましょうと。
早速1本まいって、「ハハハ!」と笑い出す。いつの間にか
固まりが取れてしまった。
 こうして、一家は、日に月に明るくなった。
なぜそうなるのか。宇宙はそのまま完全である。
 ・・・中略・・・
 それは、自分本位であり、己にとらわれているからである。
苦痛のただ中にとざされたときは、その中から抜け出して、
そこから自分の姿を心静かに眺めてみるがよい。
 ものを盗まれた。腹が立つ、残念でたまらん。
それは一応のことであって、自分を離れてよく考えてみると、
取れるものを持っていたほど自分はもの持ちであった。
 また盗んだ人の心のもだえ、姿の見にくさ、それに比べると
 自分は美しい。

 人から悪口され、有りもせぬことを悪しざまに攻撃された。
自分にとらわれていると腹が立つ。
 しかし、そのために自分にとっては何一つ失うところはない。
 ほめられて一物を加えず、けなされて一物を失わぬ。
 まして、そしる人の醜さに引きかえて、そしられても笑って受ける美しさ。

3、苦難は人を殺すためにあるのではない。
 人をより良くし、より1歩進めさせようと向上させようとしてあるのである。

 

 鋼鉄王として、世界の大富豪として知られているカーネギーは、
元からの金持ちではなかった。
英國スコットランドに生まれた彼が、家計を心配する父母の悲しみ
を聞いて、非常な決心をしたのは11歳の時であった。一家を上げて
米國に移住し、もう俺工場の職工となったのふり出し毅然として
立ち上がった彼の努力の一生は全くはなはだしい奮闘の生涯であった。

 「諸君、富貴は決してうらやましいほどのものではない。
僕婢にかしづかれ、美衣美食して幼時を過ごしつゝある富貴の子供を
見る毎に余は哀れと感ぜぬ時はない。彼らは不幸にもかかる家庭に
生まれたので、天の与えた幸福を味わうことが出来ないからである。
彼等の中から幸福を見出そうならば、彼等が不幸者であると言う
を自覚するところがせめてもの幸福でしやう」
羽場泉峰「家庭教訓少年立志編」 (アンドリュー、カーネギーより)

中略

苦難はそのまま美である。幸福と苦難と表裏一体、善と悪と陰陽不二
ここに宇宙無限の美がある。
それをそのとおり有るとおりに見ているのが芸術家であり、
これをそのまま弾ずるのが音楽であり、詠ずるのが短歌である。

続きは、明日のブログにて

枚岡合金工具株式会社
古芝保治


 

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